「臭いものには蓋、てことかよ。こいつらが本国におしよせたらどうするんだ」
「そのことなんだが」

 一層深刻な面持ちになったソリスティアが、恐ろしい仮説を口にする。

「オートバトラーの暴走は、人為的に引き起こされたのではないかと、私は考えている」

「どういうことだ?」

 ガリエラは呆気にとられる。

「本国がわざとメインサーバーを狂わせてるっていうのか?一体何のためにそんなことを?」

 到底理解できる話ではない。

 自国の軍勢に被害をもたらす行為に、何の意味があるというのか。

「強国に対する連携要請のための口実だろう」

 こちらもコンソールを操作しながら、ソリスティアが答える。

「こんな窮地を看過ごすつもりか、とな」

 ガリエラはもう何も言わない。

 馬鹿馬鹿しすぎて、語るべき言葉を失ったのだ。

 ガクン!

 また大きな衝撃。

 だが、それは二人に活路を見出ださせた。

「ソリスティア!避難通路が一ヶ所クリアになってるぞ!」

「確認した。しかもここからすぐ近いな」

 乱戦の中に飛び出すのは危険極まりないが、このままでは要塞ごと宇宙の塵になるだけだ。