「脱出できない?」

 本来楽天家のガリエラも、さすがに絶句する。

 すでに要塞は深刻なダメージを受けており、機動力も失われている。

「なんとか、オートバトラーの制御を取り戻せないのか」

 コンソールと格闘しているソリスティアに微かな希望を込めて尋ねるが、

「アクセスを受けつけない。制御どころか手のつけようがない」

「くそっ!」

 ガリエラもソリスティアも機関士だ。

 ある程度の知識と技術はあるものの、本来コンピュータは専門外なのだ。

 それでもなんとか暴走を食い止めようと、必死にメインサーバーに呼び掛ける。

 と、ガリエラがある疑問を口にする。

「前線がこんな状況だってのに、本国は何やってんだろうな」

 ソリスティアが苦々しく答える。

「何度も呼び掛けてようやく返信があったんだがな。援軍を送る余裕はないと一蹴された」