ドゴオォォン

 轟音が響き渡…らない。

 空気が震動しない宇宙空間では、音は伝わらない。

 静寂の中、要塞が炎に包まれる。

「ソリスティア!生きてるか~!」

 火災が起きている区画の切り離し作業をしながら、痩せた小柄な男が通路の奥に向かって叫ぶ。

「ガリエラ!生き残りがいたか。こっちは私だけ助かったようだ」

 傾いたドアを蹴り倒し、長身の男が答える。

 ガァン、ガァン

 崩れた通路を無理矢理押し拡げ、ソリスティアが煙の中から姿を現す。

「どうやら、機関部が制御不能に陥っているようだ。要塞が瓦解するまで数時間といったところか」

 顔をしかめ、ガリエラがぼやく。

「一体、どこのどいつが攻めて来てるんだ」

「なんだ、知らんのか」

 ソリスティアがつまらなそうに言う。

「オートバトラーが、制御不能に陥って暴走しているんだ。最早、敵も味方もない」