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『ねぇ?』



『ねぇ!』



『ねぇ!ってば!』




私は、残業をしている彼に話しかけてみた。



きっかけは、
彼への疑問。
彼への興味。
好奇心。




でも、
彼は私が透明人間のように見えているのだろう。




返事がない。





『おーいっ!』




ブンブンッと、
彼の目の前で手を上下にふった。





「……っは!」




『はっ!じゃないわよ!?』



「す、すいません!」




やっと気付いた彼の前に
もう透明人間はいなかった。




ちゃんと、
見えているのだ。




目でも、心でも。