あたしは泣いていた。





あたし達の学校は定時制があったため、部活の終わる時間は5時ごろだった。


そのため帰り途中の学生の声が、遠くのほうから聞こえていた。


夕方と言っても、季節は真冬。


既に空には星が瞬いていて、昼間の日差しは微塵もなかった。






暗い。

寒い。



…こわい。










女ってのは、メンドクサイ。



だからといって男が簡単だと言うわけじゃあないけれど。


とにかく、女は白黒はっきりさせなきゃいけない生き物だった。


あたしはそれを思い知ったのだ。





冷たい床にぺたりと座り込む。


高いところにつけられた窓から、街灯の光がぼんやりと入ってくる。



今、あたしに与えられた光はこれだけ。


手元すらも見えない。




寒くて寒くてしょうがないから、出来るだけ端に寄って蹲った。



ボールのゴムと、校庭の砂の匂いが鼻につく。


こんな埃っぽいところ、いつもなら絶対入らないのに。





いつ、どこであの子達の不評をかったのかわからない。

でも考えたところで、この重たい扉は開かない。



大方、たいした理由はないんだろう。



むかついた。


それだけなんだろう。




あたしは流れる涙も拭わずに、ただただ泣いていた。


悲しいわけではなかった。