イケメンたちの虜

アホ男はあたしのまん前まで来て、睨んだ。



「お前喧嘩売ってんのか?」


「喧嘩売ってんのはそっちでしょ?!なにもしてないこっちがどうしてバカ女なんか呼ばれなきゃいけないのよっ!」


「そんなもんなんだっていいだろ。とにかく謝れ」


「…は?」



ちょっと待てぇーい!
なんであたしが悪人みたいになってんだよぉーい!
悪人はアンタだぞ!!



「は?じゃねぇだろ。土下座して、アホ男って言ってすみませんって言え」



…ムカついた。
沙羅火山が今、ついに噴火しました。



「それは…っ。こっちのセリフじゃボケぇー!!」


「…っ?!」



…え?
なんでコイツ倒れてんの?
…ってそうだ。
あたしがアホ男を殴ったんだった…。
…ってえっ?
あたしがアホ男を殴っ…?!
ちょいと待てぇーい!(本日2回目)
これってマズいよね…?!
あのヤンキーみたいな男を殴ったってことはあたし逆恨みされるかも…っ?!



「くそ…っ。バカ女め…!」



ひょえー!
怖すぎるぅー!!
あたしは得意の逃げ足で目的の事務所へ無我夢中で走った。