前に向き直り、黒板をポーッと見ていた。



「…流川爽馬」


「…えっ?」



いきなり言い出したから何を言ったのか分からなかった。



「…俺の名前」


「あっ!流川爽馬君ね。なんて呼べばいい?」


「んー。好きに呼んで」


「…うん。じゃぁ爽馬君って呼ぶね」


「んー」



本当に承知したのか分からない返事をして、また窓に顔を戻す。



「おい!バカ女っ!爽馬のことガン見してんじゃねぇよ!」


「んがっ!ガン見なんかしてないし!」


「だから女が来るのは反対なんだよ!ジロジロ男のこと見るから!」


「はぁ?!でも安心して!アホ男のことなんか見てないから!つーか自意識過剰なんじゃないの?うわーキモッ!」


「なっ…!てめぇたたじゃ済まねぇからなっ!」


「またあたしに殴られたいのー?」


あたしがそう言うとクスクスと笑いが起きた。



「お前ら笑ってんじゃねぇよっ!まじで殴るぞ!」



アホ男は焦りながら言う。
ふっふーんだっ!
ざまぁみろってんだよっ!