「世辞は嫌いだ」

「いえ、事実です」


陸はニッコリ笑うと、僕の手を軽く握り誘導する。


「着きました」


僕と陸が教室に入ると、全ての視線がこちらを向いた。


ったく…何なんだ…。


僕が不機嫌な表情になると、自然に視線が散った。

この注目され具合はさすがに疲れる。


「陸、少し休んでくる。お前は話を聞いておいてくれ」

「…ですが、旦那様には護衛もかねて付いていろと…」


護衛?ここは学校だ。


「大丈夫だ。校内からは出ない」


僕は有無を言わせず教室を出た。