「この学園は、こういう上下関係がとても大事なんですよ」


陸はいつも遠回しなフワッとした説明をする。


「つまり金か」

「坊ちゃん…」


陸は苦笑いをした。

「下品ですよ」と注意をされたので「わざとだ」と返すと、陸は少し頭を下げる。

一々礼儀が良すぎる。

「やめろ」と言うと、頭を上げたので話を続けた。


「何故、僕が神木だと分かるんだ。僕は公の場に出た事など一度も無い」

「皆さん目敏いのですよ。それに坊ちゃんは美しい。神木家御長男と知らずとも…」


僕は陸の口にスッと手をやった。