『ごめん。なんかほっとけなくてさ…電話しちゃったんだ』




切れた電話に戸惑っていたあたしに、陽翔は申し訳なさそうにそう謝ってきた。





『光輝になんて言ったの?』


『えっ…あぁ…声かけた女が光輝の元カノで。今店で一緒に飲んでるって言ったら、あいつなんかスゲー慌てたみたいで電話切れちゃって』


『そうなんだ…』





それから陽翔は、あたしに千円だけ記された伝票を渡し、お金を受け取るとそのままあたしをエレベーターまで送り出してくれた。





『まぁ俺に会ったこともさ、何かの縁だと思うから。ちゃんと光輝と話してお互いの気持ち確認しろよ』


『うん……ありがとう』





帰り際に交わした陽翔のそんな言葉に、なんだかあたしはすごく運命的な何かを感じた。



縁か……。