『あたしは想像してたよりも水商売って楽しいんだけどね。でもさー……よく分からないんだ。環境とか立場で…人は変わってしまうものなのかな?って』


『うん。確かに楽しいし、楽しんでやりたいなぁっつーか仕事は嫌々やるもんじゃねーし。でもまぁ…変わる変わらないじゃなくてさ、この仕事してるならどこまで自分を高めて落とせるかってことなんじゃねーの?』




ん?


ふと、ホスト陽翔のそんな言葉に、あたしは珍しく耳を傾けた瞬間だった。





『例えば上を目指してる時は必死でさ。接客とかも張り切って。でも一度トップに立った人間は溺れるんだよ。自分に自惚れるの。自分は凄い、自分は一番、自分はどんな自分でもナンバーワンなんだ!って自分に酔うじゃん?でもそこで酔ったままだとどうなる?』


『えっ?……わかんない』



『酔ったままなら絶対にケガするっつーこと。まぁ俺がそうだったんだけどね。トップに立って自惚れて。調子ん乗って引きずり落とされて。だから一番一番じゃなくて自分で目覚すまでは分かんないんだよ。上に立つと人を見下すだろ?でもそうじゃなくて…上に立っても目線はいつまでも上を見ておくってことだよ』





トップに立っても…


下を見ずに…上を見続ける?



『もしかして杏奈のその元カレってホストなの?』」


『えっ…あぁ……うん…』


『どこの店?』


『オアシス…だけど』


『えっ!?オアシス?っつーことは光輝んとこの?』