あたしは…ゆっくりと。


二人が座る奥の席へと歩いていく。




そして、そんなあたしの姿に、先に気付いたのは光輝だった。




『杏奈!?いきなりどうしたんだよ?びっくりするじゃん』




目を丸くしながら、光輝があたしにそう言うと、驚いたルイとバッチリと目が合った。



ルイは気まずそうな表情を浮かべたまま、ずっと黙ってて。


だからあたしから先に口を開いたの。




『寝てたんじゃなかったの?さっき電話したんだけど』


『……』


『ちょっ、杏奈!そこにお前が立ったままだと周りの客も変に思っちゃうしさ、とりあえず座れよ』




気まずい空気が流れる中、光輝はそう言って自分の隣にあたしを座らせた。



でも、店内にいたお客さん達にはあたしのそんな行動は、やっぱりおかしく思われていたみたいで。


状況は最悪。



来ているお客さん達みんなが何があったのかとジロジロと視線を浴びせてきていた。