「 おう 」

「 ちょっと歩けばすぐそこだしな 」
 こう言ったアレックスと言う柄の悪い男は、テキーラの入った小瓶を片手に歩き始めた。

 年齢に似合わず、鎖かのような金のネックレスや大粒の指輪を着ける彼は、ギャンググループの中でも立場が上の方らしい。
 女性に寄り添われる男こそが頭目で、その褐色の男へ "タメ口" を利いているのだ。
 アレックスと言う男は、身長はさほど高くは無いものの、何かしらの技能があるに、違いなかった。

 昼間でも、煙草の煙が充満する店内は、沢山のゲーム台が発する音に、満たされている。
 彼等は思い思いに、ピンボールやレースゲームを楽しむのだった。