「 それは、テロとの戦いという大義の反面、ロシア連邦領土の維持を目的とした武力鎮圧に、加担したって意味もある 」
「 ディート軍曹は、冷徹ながらも思い悩んでいたんだよ 」

「 何が正しいのか? と 」

「 その後、葛藤を抱えていても戦果をあげたディート軍曹は、より大局を見れる立場の国連政府軍に鞍替えする 」
「 国家ではなく、世界を見ての決断だったんじゃないかな? 」

 それからのディート・ランサーの活躍は、知っての通り、真の英雄と言われるべき物だ。
 彼は人類の未来を造るべく、メタトロンと言う特攻人型ロボットで、二度もの世界紛争に身を焦がしたのだから。

 ディートこそは、世界史に名を刻まれる事は無くとも、あらゆる政治家の影響力をも凌駕する、比類なき "偉人" であった。