「 ディート伍長を 仮の車長とするかもしれん 」
 ログウェル大佐はそう言うと、後ろを向いて兵舎を出て行った。
 その大佐は外に拡がる曇り空を見上げ、独り言を呟く。

「 にしても、上官が亡くなったと言うのに補充の話か 」
「 あいつには、"情" と言う物が欠けているのかもしれんな 」
 ディートは何より、次の出撃の事だけを考えていた。
 当時の同僚で取材できた者は少ないが、冷徹で、タフな "鋼鉄の男" と言われていたらしい。

 それが、後々の特殊航空機動車輌のコードネーム。
 メタトロンの語源となったのかもしれない。

 だが一方、人間性を垣間見れる逸話もあった。