「質草よ、これ。あんたの命」 言われてもエヴにはわけがわからなかった。 「命の保証、預けたかんね」 「なっ」 命の、となるといささか物騒だ。エヴはそれで十分事の重大さを感知した。鍵穴が蒼く透明なオーブを飲み込んでしまうと、カッシーン、と硬質な音がして門が完全に開いた。おおざっぱな造りの橋が見えた。そこを何とか渡ると、闇を湛えた石室(いしむろ)が口を開いていた。