エラルドが深く息を吸い込んだ。 彼はエヴァンジェリンを抱いて翼で飛んだ。 「あっ」と言う間もあらばこそ。 ふわりと翼をはためかせ大きく旋回した。手に振りかざした光るものを見逃さない、そこが現金(キャッシュ)な地獄の住民。 「門番! これが目に入らぬか!」 エラルドが言うのと同時、 「開門、開門!」と手足の細い小鬼がちょこまかと門を開く。それは複雑な仕掛けになっていて、仕組みは誰にもわからなかった。ただ、最後にあるものを中に納めなくてはならない。キーだ。