「ザクロ!……じゃないのか?」
エヴがはっとしてエラルドを見る。目の前にいたのは地獄の邪鬼。頭に角が四本もある。
彼についてはエラルドがわずかに詳しいようだ。彼ははさりげなく後ろへ行くようにエヴに合図を送った。だが彼女は引き下がらない。
「今更、どこ向いたって同じだわ。こいつが親玉なら尚更、逃げるなんてできない」
ひたむきな彼女にエラルドが呟く。
「あのとき、あんたさえ側にいてくれたら……な。でもここは俺にやらせてくれよ」
真剣な瞳で言うエラルドに、エヴはちょっとだけ不満だ。
(なによ、カッコつけちゃって……)



