ついにくぐってしまったその衝撃は、霊気のバリアに直に飛び込んでしまったよう。 

 それは地界に住む人間達に気付かれずに天使軍が地獄の領域に近づくための扉。少々、ぼろっちいのはしかたがないとして。



「ここなのね。ここにあれが……彼がいるのね」



 エヴァンジェリンが求めてやまないもの。



「天よりも地よりも業の深いこの場所で生きてきた……あれが」



 エヴはあふれる涙を拳でぬぐった。



「「彼」に出会うときまで、できるだけのことをしてきた。後はもう……」



 それは決別。女子としての誇りも優しさも届かぬ世界だから。



「いいや、エヴァンジェリン。進むだけ。それだけよ」