二人がたどり着いたのは、巨大な鏡の前だった。頭上には巨大な天帝の肖像。その天井画は、余りに大きすぎてアーチに宝冠が隠された形になり、後に不評を買ったが、今となってはこれだけが宮殿内の華飾を示している。 「だから、あれは、さようならのお祝いだったの。真の勇者たるもののつとめよ……」 「どーりで、俺は誘われないと思った」 「あなたは言わなくても来ると思ってた」 「当てようか。それは酒盛りにじゃない」 「……当たり」 「俺の存在が、必要?」 「……かもね」