そして、青年の頭を後ろから伸び上がってごつ、と打った。
少女はきっと今までで一番、卑怯な手を使ったようで、ちょっと落ち込んだ顔つき。
「……きっと今ので十倍シナプスがちぎれそうに……」
青年は非常に嘆かわしそうに言うのだが、誰も聞いてない。
皆既日蝕が始まる。人気のない廃墟。今は哀しいモニュメントにすぎないソレ。
ああ、必死に追いかけて、目指したものはいったい何だったろう。
空は輝くサファイアブルー。広く、優雅で手の届きそうにない高い蒼(あお)。透明で、澄んでいて、見る者の目を奪い、心を惑わすその深さ……
(愛してるよ。あたしはこの世界を。だから……いくね)



