エヴァンジェリンはにっこりして背を伸ばし、エラルドの両肩を叩いた。
「エラルド……、冗談は池に沈めるよ~」
「冗談じゃないって」
軽装、とは言ってもいつもの服が黒に変わっただけだ。襟ぐりがさらに開き、袖がすっぱり無いだけだ。スカートはあくまで短く、ガーターで吊った長靴下が腿までくい込む。
「なんてカッコしているんだ。ちゃんとしまっとけ、前脚を」
「あたしどーぶつじゃないし。それじゃあ、変装の意味なしでしょ」
エヴはマントの前を押さえるエラルドの手を振り払った。
「あたしだって恥ずかしいんですからね」
と、マントを胸の前でかき合わせる。いまさら、という気がしないでもない。



