「オン爺、今日またサイレスの奴がさあー、聞いてよ-」
「あせるな。そしてあせらせるな。徐々にわかる。徐々にな」
ひとはそれぞれである。たとえ魂の戦士たるひよっこであっても。
オン爺はあせったらいいことないぞ、とゆったりと言って、自分の翼を動かす。
語り部オン爺の名はドンゴル。少し似た名前の双子の兄がいた。
もうその兄も、後から戦いに赴いた者達も帰らなくなって久しい。
かげり一つない星空を大きく仰いで、いずれ戦士となって見上げるであろう子供らを毎晩のように天へ天へと舞い上げた。
そして想い出へと向けるかのように瞳を潤ませ、そっと笑った。 了



