「おれもうダメかなあ……パワーズの戦士隊には入れないのかな……」
彼は幾度もそう言ってため息を繰り返していた。
本当は泣きたかったのだろう、サイレスには痛いほどわかった。
「エヴも初めは異端だったって。生まれつき四枚の翼を持ち、恐れられもした。だけどエヴは負けなかった。地の底で彼女はセラフィムの顕現とも思われる翼を、もう一対、授かった。だけどそれをもいでぼくのしるしとしてくれた。ぼくは悪魔なんかじゃないって……四枚羽のままの彼女に戻って、羽ばたいたのさ。ウリエル隊の仮面を借り、全てを隠して」
少年が耳を傾けていると、
「なになに、なんのお話してるのお?」
「また……」
「リヴェラには聞いてない、でしょう。あたしだってサイレスのお話聞きたーい」
「んー、またね」
「僕、かたっぽで飛ぶ練習するよ。……君もやる? どうかな? この提案、おもしろくない? ニコちゃん、君は? ね、たがいに翼をもってって……こうすれば、手を繋いで飛べるよ。みんなで手をつなげば、みんなで飛べるよ!」



