「わかってるじゃないか。こんどから初めにそうするべきだと思うよ。君もなんだその心配そうなカオは。ちゃんと返すよ」
武器をとり、全力で悪魔軍と戦う能天使(パワーズ)のひよこは青ざめて空から戻ってきた。
「目、まわんなかった?」
「回ったなんてもんじゃねーよ」
そして、小高い丘で少年は天の星々に手をかざした。
彼はしばらくそうして、サイレスが休んでいるところへ、背を向けてしゃがみ込んだ。
「なあ、オレ、パワーズに入れないのかなあ。オレ、カミサマの戦士失格?」
「ぼくも最初は怖かったんだよ。だけど、エヴみたいになりたかったから。頑張ろうと思ったんだ」
「悪かったよ…………サイレス。ずるいなんて言って。オレうらやましかったんだ。今、わかった」
少年は膝を抱えて目をかたくかたく、つぶった。
涙、ひとつ、見せまいとするかのように……
翼を借りた少年は意識がはっきりしてからも、だいぶふてくされていた。
だがこれからの人生についてまじめに考える機会には恵まれた。
早めに目標転換するのも悪くはない。



