オン爺は翼で子供達を舞い上げてやる。皆、心からはしゃいで歓声を上げ続ける。ふわりふわりと、交互に上がったり、舞い降りたり。洋服もよく風を孕むように大きめの布地をあてがってやっている。皆、オン爺の手製だ。
翼が生えないうちはこうやって風を起こして遊ぶ事で空中戦に慣らせるのだ。けれど例外はいた。
「ずるいぞサイレス!」
「何がずるいのよ」
「うるっさいなリヴェラに言ったんじゃないよ。そうやって特別の翼でひとより高く飛ぼうとするのがだよ!」
「あら、かしてもらえなかったのが、そんなにくやしいの?」
「不平等だ! 利己主義者だ! フェアじゃない! そんなのずるいやつのすることだ!」
「別に嫌なワケじゃ……じゃ、かたっぽだけなら……貸してあげる」



