所々にある壁の歪みから、また設置された暗い鏡から、地界へ逃れようとする亡者を魔物がつぶしにやって来る。そういう仕組みになっている。



「よく考えたら、何もあそこで投げなくったって、よかったんじゃないの? サイレスのオーブを」



 あまりにも今更な台詞に、エラルドが脱力。



「サイレスね、勇者? あの時のかな? あ、ひとのせいにしてるけどな、あんたが先にやったんだろってハナシ急上昇中だよ、俺はサイレスには肝心な物以外、ノータッチなんだよね。今回の地獄ツアー。投げたオーブはきっとエヴがよこしたのだよ。そうだ、間違いない」



「あそこで剛速球なげることもなかったんじゃないの?」



「俺ってスゴイ……」



 思い出しでもしたのか、エラルドは顎をなでつつ、うっとり回想にふける。