「はい、エンジェルの秘薬。促成よ。もうちょっと、がんばってもらうわよ。もう、面倒ばっかで坊やね」
え? と彼は首をちょっとひねった。もう傷はふさがっている。これだからエヴが離せない、と言うのだ。彼女が自分に充分優しい、と勘違いをする輩が周囲に絶えない。
「違うよ? エヴァンジェリン。俺結構、尽くすひとよ? それにさ、あんただけは違っていたじゃない……鼻にかけてたら孤独死するよ、って……孤独死って幼児から年長クラスに言うってどうよ、て思っちゃったけどさ」
ぶるぶると首を横に振ってまだ半分以上泣いたような顔で否定するエラルド。
情けなくしおれる彼に、彼女は手をのばす。そうして背後へ腕をまわして、湿った感触に目を眇めた。



