「厚意も受け取れないほど、初心なのか?」 「そんな言い方するんならもういいよ」 「馬鹿こけ。せっかく来たんだ、だからってわけでもないが、あがってけ」 「わかった。ご厚意ありがとうございます」 リヒトは上着を脱いで、表地が汚れないように裏地を表に返した。 「おじゃましまーす」 と低い声で言った。短ランの裏地は刺繍入り。 深紅の布地にメンチきる龍の背に般若の面……とかとかとか。 ある意味入れ墨より迫力がある。