ミスティ ムーン=静かなる調べ=

 ボクはストールの端をママの方へと差し出した。


 せめて、涙を拭いて欲しかった。



「どうしてそんなことをするの? こんな時に優しくできるの?」



「ママは助けてって言わなくても、いっつも助けてくれるじゃない」

 
 
 正直、ボクは自分の命は諦めていた。



 だからだろうか、ママはそんなボクに不吉なものを感じ取ってしまったみたいだった。