リヒトは一番古い参考書を一番初めのページから開きはじめた……そのときだ。
「リヒトー、おい、暇なのか」
だむだむ。
ノックをするのは兄である。
「んだよ、勉強のフリなんかして、ビニ本でもかくしてんのか? どうでもいいけど制服返せ。おきになんだから」
「ああ、うん。で、俺のは?」
振り返ると、「ヤベッ」と呟いて、相手はよそをむいた。
机の上のなんちゃらが兄の脳髄を猛烈に攻撃!
彼はお勉強なんて大嫌い。
だから、弟もてっきりテストのためにだけ勉強するフリをしてるんだと思っていた。
なのに……
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