「じゃあ、なんのために大学行くの?」
「なんのためでもいいだろ!」
「それだ。自己主張するときだけ相手の目を見る……ただし相手の右目だけ。基本だね」
リヒトは勢いよく立ち上がると、CDの山を崩しそうになりながら、部屋を出た。
「回り道を好むひとも居るからねえ……ほんっと、枯れ枯れになっちゃったら、ボクんとこで四方山話に花咲かせようぜ。ネタになるしな」
宮下の心にはリヒトが笑うのが聞こえた気がした。
この世には、きっともっと、面白い物がある……それが、今一人だけでなし得ることではない。
だからこそ、リヒトは決めたのだ。
この世の全てを学んでやる! と。



