秘密のkiss


学校に着くと、先輩や後輩と色んな人に声をかけられる柊と、その横を黙って歩く私。

「柊、おはよう!」


「おう!」


隣を見ると、歯を出して楽しそうな笑顔で友達に挨拶をしている柊。


やっぱり、私の時とは違う。こんな笑顔、二人きりのときはもう久しく見ていない。いつもクールな顔つきで、何考えているか分からないから。


「ここでいい」

靴を履き替えると、私は柊に言う。

「教室まで行くよ」

と柊は言う。


「階段上がってすぐよ。もう一人で行ける」


心配そうな目で柊は見つめ続ける。


「いいから」


それだけ言うと、私は階段を上がった。


柊も居なくなり、あと、二、三段だというところで、私は、不意に足を滑らせた。



落ちる!と思いと目を瞑った瞬間


何かに支えられた。


振り返ると、すぐ後ろに柊の顔があった。

「あ…」


柊は、ホっと安堵の表情を浮かべ何も言わず、私を教室まで送り、自分の教室に戻って行った。



何だか、自分が情けない。