あれから、数日

平井くんのアドバイスを何度も思いだしてみるけれど、思えば私は今まで恋人ができたことがない。


平井くんはあんな簡単そうに言ってのけたけど、この方法ってとっても難関な気がしてきた。



「どうした?桜木。筆が止まってるな」
心配そうに部長が言う。


「あ、いえ」


だめだ。今は部活中。絵に集中しないと…。


私は、頭の中のよこしまな気持ちを除こうと、必死に首を振る。


「部長、さらちゃんどうしたの…?」


「さぁ…」


皆は、こっそりとそう言っていたらしい。