「それより、二人はやっぱりデキてんの?」
私達を交互に見て、平井くんは尋ねる。
急なことに、私達は顔を赤面させた。
私は、勢いよく首を横に振る。
「へぇー。昼も一緒に食べる仲なのに?」
にこにこと平井くんは聞いてくる。
「それは…幼馴染みの私に友達がいないの、気にかけてくれているから」
と、私は答える。
昔から、人よりのろまなとこや口数が少ないことで周りを不機嫌にさせてきた私は、人と接することに臆病だ。
「さら、止めろ」
苦しそうな顔で柊は視線を送る。
「でも、幼馴染みだからってそこまでするかフツー?」
平井くんは私の目を見て、じっと尋ねてくる。不思議。彼の瞳を見ていると何故か吸い込まれるような感覚になる。
「足…」
「足?」
「足怪我してるの」
「え?怪我?」
「昔。今はもう平気だけど、その影響で走れなかったり、時々痛むの。それで-」
「ありがとう。もういい。だいたい分かった」
少し涙を浮かべた私に気づいたのか、優しい声で平井くんは言った。
「つまり、俺にもチャンスありってわけね♪」
そう言い、急に声のトーンを変え、席を立った平井くん。
「平井!ぶざけるなよ!?」
柊が声を荒らげる。
「へいへい」
と、彼は適当に頷くと、ドアの方へ向かっていった。
「あ。」
と、急に思いついたような声を発すると、少し戻り、平井くんは、ボソボソと私の耳元で囁き、お先ーと美術室を出て行った。
「?」
と柊は訳の分からない顔をしていた。
私は、平井くんに囁かれた方の耳を触り、彼の言葉を思い出す。
『お前、髪下ろしても似合ってんだから、玉には髪型変えてみろよ?』
平井くんとは二週間前に知り合ったばかり。
一度も髪を下ろした姿なんて見せたことないのに、どうして彼は、分かるのだろう……。
