達也君は、 ケントの体を揺すりながら 「ケント!!寝とる暇なんかないやろ!! お前は父親になるんやで!」 涙を流して言った。 真奈も、 ただ涙を流す事しか出来なかった。 達也君は涙を拭くと、 ケントの家族に連絡をする為に 部屋から出て行った。 手を握っても、 握り返さない冷たい手。 『ケント? やっぱり真奈は幸せになれんのかな? 』 もう、ケントの声は聞けない。 『なんか言ってよ…』 何を言っても、 返事はかえってこないなんて わかってる。 それでも、 真奈は話し続けた。