地面を見た後、 ゆっくりとマンションを見上げていく。 真下から見るマンションは、 車を止めた場所から見るより、 大きくて高い。 人が落ちてくる場面を想像すると、 寒気がして鳥肌が立った。 「ここまで来たんやったら…」 ケントはマンションを見上げて言い、頬には涙が流れていた。 真奈は地面に付いた血を指で軽くなぞり、 再び見上げて目を閉じる。 やっと真奈の頬に涙が流れた。