大切なもの…〜cherry tree〜

 


もう夢だと紛らわす事が出来なくなり、
真奈は立ち止まったまま剛君の写真を見つめていた。


「真奈」


ケントに手を引かれ、
棺の前に着くと剛君の母親は、
小さな窓を開け涙を流した。


達也君、ケント、真奈の順で横に並び、
そっと小さな窓を覗くと
少し歪んだ剛君の顔が見えた。


真奈は、ケントの腕に額を当てて目を閉じた。


眠ってるようには見えない。


痛がって苦しんでるようにしか…見えない。