大切なもの…〜cherry tree〜

 


ケントと達也君の喪服姿を見て、真奈も着替えた。


午後5時。


真奈達は、
達也君の車に乗り会場へ向かう。


会場に着き、
剛君のもとへ行こうとした途端、
1人の女性が話かけてきた。


「来てくれてありがとう」


女性は深々と頭を下げる。


「剛のお母さん」


達也君は、真奈とケントに紹介した。


剛君の母親が頭を上げると、


「剛の顔見たって」


と言って案内してくれた。


ドアが開きっぱなしになった入口を入ると、
沢山の椅子の先に
照明の光に照らされた大きな棺と、
笑っている剛君の写真が飾られていた。