大切なもの…〜cherry tree〜

 


午前8時。


リビングに行くと、ケントが起きていた。


『おはよう』


「おはよー」


まだ寝起きのケントは、
ボーッと一点を見つめている。


真奈はキッチンで2人分のコーヒーを入れ、
ケントの正面に座った。


長い沈黙が続く。


真奈はソファに浅く座り、
背もたれにもたれてケントを眺めた。


10分程たった時、ケントが真奈を見て


「うわっ!!ビックリした」


『こっちがビックリするわ!!』



ケントの前に置かれたコーヒーは、湯気がなくなり冷めている。