大切なもの…〜cherry tree〜

 


優子の携帯が鳴り、
電話に出ると校門の方を見て電話を切った。


真奈達も校門へ視線を向けた。


校門の前には、
一台の車が止まっていて
一人の男の人が車から降りて
誰かを待っている。


優子は、


「ごめん…」


と言って歩き出した。


達也君は、


「幸せにしてもらえよ!!」


と言って優子の背中を優しく押した。


優子も真奈達も皆、笑顔。


『急に現れたと思ったら、風のように消えて行ったな』


「優子らしいやん」


達也君の顔は、
少し淋しそうに見えた。