ケントの声は真奈に届かず、 真奈は遠い目をして制服を眺めていた。 真奈の様子を見て ケントは、 「卒業したら気持ちも楽になって今までと違う考え方や視野が広がるかもな。人それぞれやけど」 と真奈の頭に手を置いて 言った。 ただ優子がいなくて 1人なのが寂しいのかもしれない。 『ハァ…』 真奈はため息をつき、目を閉じた。 「いつまで暗い顔しとん? 卒業式はお祝い事なんやで」 真奈の頬を抓るケントに 『わかったー』 と返事をし、 ケントに頭突きをして部屋へ逃げた。