大切なもの…〜cherry tree〜

 


真奈は短い手紙を見つめた。


「これは俺からのラブレター」


『これがラブレター?』


たった4文字の短い別れの言葉。


いくら考えても、
さよならは悲しい言葉。


ケントは桜の木にもたれて座り、
優しく真奈を見ていた。


『わからへん!!』


頭を抱えながら、
その場にしゃがみ目を閉じた。


「貸して」


ケントは、真奈から手紙を取り
ポケットから鉛筆を出して、
車のボンネットの上に手紙を置くと、
4文字の言葉の下を鉛筆で薄く塗り潰した。


『あ…』


「これが俺からのラブレター」


真奈は手紙をにぎりしめ、強く胸に当てた。


『ありがとう…』


ケントからの手紙は、
嬉しくもなり、悔しくもなった。