ケントが家に来て、 真奈がいなかったら 桜並木に来るかもしれない。 でも、 真奈には桜並木以外に行く場所はない。 ケントにすれ違わないように、車が通れない中道を使った。 桜並木に着き、 真奈は携帯と手紙、合鍵を埋めた穴を掘り返し 持って来たビニール袋に全て入れ、 左手に光る指輪を見た。 『ごめん…』 指輪を外して、ビニール袋に入れると 穴を埋めて、 真奈は立ち上がりまた歩き出した。 行き先は、 もう一つの見慣れた桜の木。