大切なもの…〜cherry tree〜

 


真奈は、ケントに読んでほしかったのかもしれない。


日記を持ってリビングに向かうと、
いつものようにコーヒーを入れて
耳についている
輪になったピアスを外した。


輪のピアスには、
小さな鍵がぶら下がって揺れていた。


『もう二度と読まんと思ったのに…』


小さなため息をつき、
日記の鍵を開けて表紙を開いた。


最初のページに書かれた文字。




【分身 もう1人の真奈】






今は存在しない


もう1人の真奈…