大切なもの…〜cherry tree〜

 

あの時見た桜は、めっちゃ綺麗で
真奈の上から降る花びらは、
小さな体を抱きしめるようだった。


「なんか初恋って感じやな」

ケントはすねたように言った。

『初恋って。真奈この時4歳やったんやで』


と笑って言った。


「んで、そのお兄ちゃんは今何しとん?」


『さあ。急に会わんようになったから』


アルバムを閉じ、
ケントにもたれ掛かった。


「どないしたん?」


真奈は、少し間をおいて話した。


『この前、その夢に亡くなったおばあちゃんが出てきてん』


ケントは、真奈の頭を撫でながら黙って聞いていた。