「達君の夢見たってこの事?」
『うん』
「真奈ってなんで桜が好きなん?」
ケントの問いに、真奈は部屋から
分厚いアルバムを持ってきた。
そして、一枚の写真を指差した。
「これ…真奈と誰?」
写真は、
真奈と真奈より少し年上の男の子と
桜の木の前で手を繋いでいる。
『名前は覚えてないけど、腹違いのお兄ちゃん』
「お兄ちゃんおったん?」
『うん。何で会ったかは忘れたけど、
真奈が泣いたらお兄ちゃんは、
満開の桜を見せて、落ちた花びらを集めて上に投げる。
ヒラヒラ落ちる花びらを見て真奈は泣き止んでん。
真奈が泣き止んだら、
お兄ちゃんはポケットから飴を出して
真奈にくれるねん』

