大切なもの…〜cherry tree〜

 



時計を見るとお昼前。


『げ!!もうこんな時間!?』

携帯を開くと、ケントからメールが来ていた。


内容は、

【今日雨やから仕事休み】
だけだった。


ケントに電話をしようと
電話帳を開き、
発信ボタンを押そうとした瞬間
ケントから電話がかかってきた。


『はい?』


「何しとったん?」


『今起きてん』


「もう昼やで!?」


『変な夢見てん』


ケントには、夢の内容を詳しく
言った事がない。


「夢?」


『うん。昔から同じ夢を何回も』


「今から行く!それからゆっくり聞くわ」


電話を切り、テレビも付けず
真っ黒のカーテンも、閉めきったまま。