大切なもの…〜cherry tree〜

 


ケントが家に帰ったあと、
真奈は1人大きなベットで
いつものように寝ていた。


そして
真奈は再びあの夢を見た。


毎回内容が変わる夢。


でもこの日は、
ビデオを巻き戻したような夢だった。


初めて見た夢と同じ。


暗闇で母親や、父親
妹達が真奈の前を歩く。


まだ小さい真奈達は
はしゃいでいて、
真奈が皆の前に出て前へ進む。


皆の笑い声が聞こえなく
なり、
振り返ると皆は消えていた。


『お母さん?』


呼んでも返事がない。


一筋の光に照らされてる桜の木。


涙を流しながら、桜の木に近づき
座り込んだ。


桜の花びらは舞い、小さな真奈を包む。


そして、
後から抱きしめる温かい手。


真奈は振り向かずに
抱きしめる手を握った。