それでも子供達が止めてくれるはずもなく、次から次へと言葉を吐き出していく。
「知ってるんだからな。
お前だって人殺しじゃないか!
人間をたくさん殺してるヤツに猫を殺しちゃいけないだなんて、何で言われなきゃならないんだよ!!」
「ひ、人殺しのくせに...!」
「人殺しのくせに!」
純粋故に残酷な子供達の言葉。
総司はそれを咎めるでもなく、静かに、静かに言葉を紡いだ。
「─人を、殺しているからこそです。
人を殺したら、後は誰彼構わず何人だろうと殺してもいいわけではないんです。
命を、奪っていいわけではないんです。
私は、決して人を殺すことを望んでいるわけではありません。
私の大切な人達と何一つ変わらない、命ですから。
それでも私はこれからも、沢山の人を殺すでしょう。
私が大切に思っている人を、物を、守る為に誰かの大切な人を殺すこともあるでしょう。
きっと私はろくな死に方が出来ませんね、沢山の恨みを買って生きてきましたから。
猫も人も同じですよ。
切れば血が飛び、死ねば生き返ることはない。
猫に感情があるのかは分かりませんが...少なくとも死にたくないという気持ちは持っているみたいですね。」
そこまで言うと、スッと真ん中に立っていた子の頭の上に手をやった。
びく、と怯えた男の子の頭を優しく撫でて、再び穏やかな口調で話し出す。
「私は、人を殺します。
人に言われるからではなく、自分の意志で。
だけど、出来るならば君達の手が紅く染まることのないように。
人殺しの私には出来ませんが、君達はいつか出会った大切な人を守る為にこの手を使うことが出来ます。
綺麗なままで、命を奪う以外の方法で、誰かを守ることが出来るんです。
今、こんなところで必要のない殺しをすることはないでしょう?」
「違いますか?」と言った総司に、男の子は下を向き、その後小さな声で「ごめんなさい」と言った。
